「社会実装都市」としてのつくば
つくば市は、長らく研究学園都市として知られてきた。大学・研究機関・高度人材が集積するこの街は、知の供給地としての側面が強調されがちだ。
しかしGoodRun!が注目したのは、そこではない。
研究成果を“社会に下ろすこと”を前提に設計された都市構造にこそ、価値があった。社会インフラ型のプロダクトは、UIや機能だけでは成立しない。制度、現場、運用、合意形成——それらが同時に動く必要がある。
つくば市は、行政・研究・民間が接続されやすく、「まずやってみる」「実証し、改善する」ための土壌が、すでに整っている土地柄があると私たちは見ている。
スタートアップ支援が“制度として”存在している街
つくば市には、行政が主体となって運営するスタートアップ支援拠点が存在する。重要なのは、これが単なるコワーキングスペースではないという点だ。行政が、スタートアップを社会実装の担い手として捉えている。犬のインフラを扱う以上、ドッグラン運営者、土地所有者、自治体、地域住民——
多くのステークホルダーとの接続は避けられない。その最初の相談相手が「制度の内側」にいること。これは、GoodRun!のようなインフラ型事業にとって、決定的な差になる。
首都圏と地方を同時に見据えられる、稀有なポジション
つくばは、地方都市でありながら、首都圏と地続きだ。都内から1時間圏内という距離感は、
・人材
・開発
・営業
・メディア
との接続を、現実的なものにする。同時に、郊外性も併せ持つことで、「混雑」「ルール」「施設運営」「地域性」といったドッグラン運用のリアルな課題を、過不足なく検証できる。
実証し、磨き、拡張する。
このサイクルを回す拠点として、つくばは極めて相性が良かった。
空き地を、ドッグランにするという構想
GoodRun!が最終的に見据えているのは、日本中の空き地を、ドッグランに変えていくことだ。遊休地は全国に点在している。一方で、犬の運動不足、飼い主の孤立、地域の分断は、確実に進んでいる。
だが、いきなり空き地をドッグランに変えることはできない。運営ルール、安全性、認証、決済、責任の所在——それらが整理されていなければ、持続しない。だからGoodRun!は、順序を選んだ。
まず、既存のドッグランを底上げする。運用を可視化し、標準化し、「続くモデル」をつくる。その上で初めて、空き地をドッグランへ転換するための“社会的な合意と仕組み”が整う。つくばは、その標準モデルを最初につくるための街だった。
なぜ、ここから始めるのか
GoodRun!は、理想を語るためのアプリではない。犬と人が、無理なく、長く、共に暮らしていくための次の「当たり前」を設計する事業だ。そのためには、派手なローンチよりも、確実な運用実績の積み重ねが必要だった。
つくば市は、「小さく始めて、社会に広げる」ための起点として、最も現実的な選択だった。ここから、ドッグランは“特別な場所”ではなくなる。犬と人の暮らしの中に、静かに溶け込むインフラへ。
GoodRun!の挑戦は、この街から、すでに始まっている。