GoodRun! Magazine
「犬好きが、つながる一日」 第1回 ワン博フェスのやさしい設計図

「犬好きが、つながる一日」 第1回 ワン博フェスのやさしい設計図

古川清流古川清流

茨城県つくば市中央公園で開催された「ワン博フェス」で印象的だったのは、にぎわいよりも「配慮」でした。リードにつけたリボンの色で、犬や人の得意・苦手が伝わる仕組み。交流を強制せず、距離を尊重する設計。ワン博フェスは、犬を中心に、人と人の関係性をやさしく再設計したイベントでした。

リボンがつくる、やさしい境界線


ワン博フェスが目指したのは、 犬好きだけの場ではなく、 「犬が好きな、誰もが取り残されない場所」。 その思想は、受付で手渡される一つのリボンから始まっていました。

会場に足を踏み入れ、最初に向かう受付で、参加者は色のついたリボンを受け取ります。 リボンの色は、 以下の意味を持ちます。

リボンが犬の声の代わりとなり、近づく前に、察する。 声をかける前に、尊重する。この仕組みがあることで、 犬・人それぞれの“得意/苦手”がひと目で伝わる。お互いの距離感が守られることで、ストレスフリーなコミュニケーションが自然に生まれていました。

自分の居場所があるイベントづくり


会場には、マルシェやミニゲーム、仮設ドッグランがあり、 一方で「ゆったり・交流ゾーン」という静かな居場所も用意されていました。犬も人も、 疲れたら休んでいいし、 今日は見ているだけでもいい。

それは、イベントでありながら、「いつも通り自然体でいい」というメッセージが、 場全体にやさしく流れ、人も犬もリラックスして過ごせていたように思えます。

主催者が語る、「なぜ、このイベントをつくったのか」


主催者の小邦さんは、イベントに込めた思いをこう語ってくれました。

主催者・小邦 慧さん
主催者・小邦 慧さん


「犬を飼っている人も、飼っていない人も、 最近は地域でのつながりがどんどん減っています。 犬を飼えない人は犬と触れ合う機会がほとんどなく、 犬を飼っている人も『他の犬や人と交流させる場がない』 という悩みを抱えていることが多いんです。

だからこそ、無理をしなくていい交流の場をつくりたかった。 犬とふれあう機会が少ない人たちに笑顔を届けたいし、 犬と飼い主にとっても、健やかな社会化の場にしたかったんです。」

その言葉どおり、ワン博フェスは 「犬を飼っているかどうか」を境界線にしないイベントだった。

犬が好き。 その気持ちだけで、そこにいていい。そんなイベントづくりがデザインされていました。

「急に近づいてしまったり、驚かせる触り方をしてしまったり、知らないことで起きてしまう日常のトラブルを、イベントを通じて楽しく知識を得ることで減らしていきたいです」

犬を中心に、人の関係性を再設計する


第1回ワン博フェスは、 単なるドッグイベントではありませんでした。犬を中心に置くことで、 人と人の距離感を、もう一度丁寧に組み直す試みだったように思えます。

全ての人の、コミュニケーションを肯定したうえで、 それでも自然と笑顔が生まれていく。そんな場が、確かにここにはありました。

イベント会長・コーギーのおとち
イベント会長・コーギーのおとち